伊藤伸二の吃音(どもり)相談室

「どもり」の語り部・伊藤伸二(日本吃音臨床研究会代表)が、吃音(どもり)について語ります。

2018年08月

第29回吃音親子サマーキャンプ

 第29回吃音親子サマーキャンプ、明日からスタートです


 伊藤亜紗さんとのトークイベントの続きを、と思っていましたが、ちょっと重要なトークなので、簡単には書けません。だから、明日からの吃音親子サマーキャンプが終わってからにします。

 吃音親子サマーキャンプは、今年で29回目になりました。よくまあ続いてきたものだと感心します。これは、全国から集まって下さるスタッフのおかげです。今年も、遠く沖縄、鹿児島から、また千葉、神奈川、東京から、スタッフが集合します。当日取り組む劇のための衣装作りや、最初のプログラム「出会いの広場」の準備など、すでに準備をしてくれている人たちにとっては、かなり前から始まっていることになります。毎年、今年はスタッフが例年のように来てくれるか不安です。義理も、義務も一切ない、特典も何もないのに、毎年年中行事のように集まってくれる人たち。こんな人たちが大勢いてくれたから、ここまで続いてきたのです。本当に頭が下がります。

 スタッフは当日、初めて顔を合わせる人も少なくありません。事前の実行委員会も全くないままに、当日顔を合わせたところから始まります。始まってすぐに小一時間、顔を合わせるだけで、本格プログラムに突入です。初めて参加した人はそのことにまず驚きます。このチームワークの良さがあるから、29回目も続いて来たのでしょう。
 大きなひとつのファミリーのように、吃音親子サマーキャンプの場が、参加者ひとりひとりにとって、居心地のいい安全基地になりますように。
 私たちも、29回目のサマーキャンプを大いに楽しみたいと思います。

 日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2018/08/16

伊藤亜紗さんの「どもる体」の出版記念トークに行ってきました

やっぱり、「しゃべれる方が、変。」だよね!

 8月11日、ロフトプラスワンウェストで、『どもる体』の出版記念のトークイベントが行われました。吃瑤蓮著者の伊藤亜紗さんの講演、局瑤蓮▲殴好箸破佑登壇し、フロアーの人との話し合い、敬瑤蓮亜紗さんと僕の対談、という企画です。
 この企画のお誘いは、出版社の医学書院の編集者、白石正明さんからありました。白石さんとは、昨年の1月、渋谷のロフト9で、トークイベントをしたとき、登壇していただいて、お会いしていましたが、伊藤亜紗さんとは初対面です。トークイベント 看板トークイベント パワポ タイトル

 僕も亜紗さんも同じどもる人ですが、亜紗さんはどもりが軽かった、亜紗さんのことばを使えば、濃厚な当事者ではなかったせいか、僕とは違う視点で、どもりをとらえておられます。『どもる体』のユニークな表紙にあるように、どもりをマイナスなもの、ネガティヴなものととらえていないことは共通しています。身体論としての吃音という視点は、これまで吃音に関する本にもなかったし、僕の中でも、そのような視点はありませんでした。どもるという共通点をもちながら、全く違う方向から吃音をとらえていたふたりの話がどう交錯していくのだろうか、好奇心とわくわく感を持って、当日を迎えました。

 会場に少し早く着いたので、暑いにもかかわらず、その辺りをうろうろしていた僕は、交差点で「伊藤さん」と声をかけられてびっくりしました。伊藤亜紗さんでした。そんな偶然の出会いから、今回のイベントがスタートしました。

 吃瑤蓮▲僖錙璽櫂ぅ鵐箸鮖箸辰董∨椶瞭睛討某┐譴覆ら、亜紗さんの講演です。
 タイトルにあるように、しゃべるということは、実はどんなに高度で複雑なことなのか、亜紗さんは、たくさんの音を出すのもすごいことだし、次に言う内容を考えながら話すのもすごいこと、それを瞬時にしているということはものすごいことだと言います。それが難なくできることの方が変だよね、ということになります。会話となると、相手がいて、相手の視線を感じながら、相手の表情や反応をリアルタイムに感じながら話すことになります。相手の口の辺りをずっと見ていて、相手の口が閉じたときに、自分が話し始めるというタイミングも計らなければいけない。このように、分析され並べられると、本当にすごく高度で複雑な大変なことを、毎日僕たちはしているのだと、改めて思いました。
 自分のからだがどんどん先に行く、体に追い越される感じだと、亜紗さんは表現しました。こんなこと、あまり考えたことがないので、僕にはとても新鮮でした。このように感じたことが、今回の『どもる体』の本の出発だったそうです。
トークイベント 亜紗さん
 話の中で、亜紗さんは、障害を語るとき、2つの方向性があると、求心型と遠心型という対の概念について話しました。

ゝ畤慣拭.札襯侫悒襯廛哀襦璽廚粒萋阿紡緝修気譴襪茲Δ福当事者と非当事者の境界があり、当事者が非当事者に語りかけるようなもの。
遠心型 当事者の知っている大事なことは非当事者も知っているというのが前提。潜在的には非当事者も当事者性を持っている。当事者と非当事者の境界を越えていくような方向性をもっている。これが、亜紗さんの身体論。当事者の経験を深めていくことで、非当事者にも分かるように伝えていく。対立ではなく、補完し合うものととらえる。吃音の話をしつつ、吃音を超えていくもの、という表現をされていました。

 この二つを出していただいたことで、僕と亜紗さんの共通点、相違点を語るキーワードができたようでした。

 敬瑤梁价未遼粗、演劇が話題になりました。
 僕が吃音に悩み、苦しむようになったきっかけは、小学2年生の学芸会のとき、せりふのある役を外されたことが関係しています。どもる子どもたちも、芝居は苦手だと話すと、「それなのに、今、吃音親子サマーキャンプで、演劇を取り入れているのはなぜか」と質問されました。
 現実の社会では、ちゃんと吃音のことを理解してくれている人ばかりではないので、その中でしっかりと自分を伝えなきゃいけないし、緊張する場面でも、自分を支えないといけません。そういうしんどい場面で、自分がひとりでも立っていられるようになって欲しいと思い、苦手なことに、仲間と共に挑戦するのが僕たちのキャンプなのだと答えました。たとえ、うまくいかなくても、成功しなくても、ちゃんと最後までその場に立っていたという、そのことがとても大事だと思います。耐える力が大事だと思うのです。
トークイベント 対談2人
 その後、僕は、『どもる体』の感想を伝えました。本を送っていただいたときに、ぱらぱらとめくった段階で、ふっと沸いてきた感覚が、爽快感でした。これまでの吃音に関する本は、どもるとこんな悲しい、こんな苦しいことがあるというネガティヴなものばかりでした。現実に今の社会でも、どもりは治すべきもの、治さなければならないものとして、ある意味、ネガティヴなキャンペーンが充満しています。そんな中で、ネガティヴでもなくポジティヴでもなく、ちょうどいいポジションにいて、爽快感を感じたのです。だから、僕にとっては、とてもありがたい本でした。

 そしたら、亜紗さんは、本にするときに、一番最初に、自分の中で決まっていたのは、爽快感の部分だったそうです。ネガティヴでもなくポジティヴでもないものにしたいと思っていたと聞き、うれしくなりました。

 亜紗さんのような、濃厚ではない吃音当事者だからこそ、書けた本だと思いました。日々、悩み、苦しんでいるどもる人なら、つらい、苦しい、なんとかしてよというものになってしまいます。亜紗さんは、「助けて下さい。分かって下さい」というメッセージは出していません。悩みが展開していく、悩むんだけど、それは発見でもあるような、そういうゴールのない感じを誠実にしたいと思っていたということでした。

 そして、今回の対談で一番のヒットだと僕が思う話が展開されていきました。亜紗さんは、「伸二さんは、非当事者とかかわるとき、どんな関わり方をしたいと思いますか。または、されてきましたか」と質問しました。

 ここで、僕は、亜紗さんが、講演の中で使われた「障害を語る時の、求心型と遠心型」というキーワードを使って、僕の考えてきたこと、考えていることをお話しました。
 このキーワード、似たような表現としては、「吃音は誰もがもつ、普遍的な悩みと共通する」などと、使ってきましたが、「求心型と遠心型」は今まで知らなかったし、使ったことがなく、とても新鮮でした。トークイベント 伸二
 その話は、次回に回します。
 こう書いてきて、「がんの生きがい療法」を提唱しておられた医師の伊丹仁朗さんと「がん患者の死への不安や恐怖」と「どもる人の不安や恐怖」は質はまったくちがっても、一本の線でつながっているのではと話したことに、伊丹医師が共感して下さったことがあったと、ふと思い出しました。
 そのことについてもまた書きます。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/08/14

国立特別支援教育総合研究所での対話

国立特別支援教育総合研究所での対話
 
神奈川県横須賀市に、国立特別支援教育総合研究所があります。毎年、そこに呼んでいただき、吃音の話をします。
 今年も、7月3日、受講生7人と膝をつき合わせるようにして、吃音の話をしてきました。皆さん、真剣にしっかりと聞いて下さるとてもいい聞き手でした。質問もたくさんして下さいました。僕も気持ちよく話すことができ、いい時間を過ごすことができました。
 これまでは、僕の伝えたいことを時間ぎりぎりまで話していたのですが、いつからかそのスタイルをやめました。紙を何枚も配って、今一番知りたいこと、疑問に感じていたこと、吃音に関してどんなことでもいいので、質問を書いてもらいます。1人3枚以上書いてくれたので、かなりの枚数です。その一枚一枚について丁寧に話していくと、90分の枠を3コマも使ってしまいました。その人が聞きたい、知りたいことを話すことは、僕にとっても気持ちのいいものです。最後の感想では、僕にとってありがたい声がたくさん聞けました。話を聞いて下さる方とのこのようなうれしい対話を続けていると、このスタイルが僕に合っているのだと思います。
 講義が終わった後、受講生と牧野泰美・上席総括研究員も加わって下さり、居酒屋でお酒を飲みながら、最終の新幹線のぎりぎりまでいろんな話をします。お酒を全く飲まない僕にとって、この時間もとても楽しいものです。丸1日、講義だったので、その開放感もあるのでしょう。講義では話さないプライベートなことも話題になります。
 研修が終わると、受講生の皆さんは、それぞれ地元に帰っていきます。ことばの教室担当の人もいれば、聾学校の人もいて、さまざまですが、地元で、少しでも広げてくれたらと願い、僕は、種まきのつもりで話しています。根を下ろし、育っていってくれることを祈りつつ。
 講義が終わった後、受講生の皆さんと記念写真を撮りました。載せてもいいと了解を得ていますので、このブログで紹介します。

久里浜 7.3


すぐにブログで紹介するつもりだったのに、こんなに遅くなってしまいました。
 このときの受講生のうち、2名の人が、先日の千葉での吃音講習会に参加して下さいました。懐かしい再会でした。こんなうれしいおまけがあったことも、報告しておきます。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/8/9


『どもる体』の著者、伊藤亜紗さんのトークイベント

『どもる体』(医学書院)の著者の講演と、トークイベントのお知らせ

 以前、このブログでご紹介したイベントのお知らせの再度の案内です。
 イベントは、あさって、8月11日、(土)午後1時半からです。当日券はまだ少しあるとのことでした。ご都合のつく方、どうぞ、ご参加下さい。 


 以前、このブログで、吃音に関する新しい視点の本が出版されたこと、お知らせしました。
 『どもる体』(医学書院)は、日本で初めての「どもりの身体論」です。随所にはっとする表現が出てきます。
 僕が吃音の講義や、講演などでよく受ける質問があります。「どもっているとき、体はどうなっているんですか。苦しいんですか」というものです。これがなかなか具体的に言語化できません。それを伊藤亜紗さんが、どもる人にインタビューをして、対談してまとめた「身体論」です。どもる人にとってはうなずけるものになっていますし、どもらない人にとっては、どもりという不思議な「生き物」と出会うことになるでしょう。
 大阪吃音教室の藤岡千恵さんや、最近知り合いいろいろなところでご一緒することがある東大スタタリングという当事者グループの運営に関わっておられる山田舜也さんなど複数のどもる人が、インタビューで登場します。
 その出版を記念して、著者の伊藤亜紗さんの講演があります。その後でゲストとして僕が呼ばれて参加した人たちと一緒に話し合うことになっています。
 おもしろいイベントになりそうです。ぜひ、ご参加下さい。
 また、この情報を多くの人に知らせていただけるとうれしいです。
 よろしくお願いします。当日も受け付けていますのでご都合がつけば、ご参加下さい。

日時 8月11日(土)13:30〜
場所 ロフトプラスワン・ウエスト
会費 前売り2000円 当日2500円
申し込み等、詳しくは、下記をご覧下さい。
    
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/92336

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/08/9

第29回吃音親子サマーキャンプが近づいてきました

第29回吃音親子サマーキャンプが近づいてきました

 2泊3日、話し合い・芝居の練習と上演・親の学習会を3本柱としたプログラムで、29年間もよく続いてきたものだと思います。近畿地方だけの小さなキャンプだったのが、だんだんと参加者が増え、大きなキャンプになりました。参加者も全国各地から集まるようになりました。北海道からも、沖縄からも、参加がありました。スタッフも、手弁当で参加して下さいました。多くの方の思いがつまった吃音親子サマーキャンプ、たくさんの出会いとドラマがあったなあと思い返しています。

 今年も、サマーキャンプは、芝居の事前レッスンから始まりました。
 7月21・22日、大阪市内のお寺に集まった19人のスタッフ。竹内敏晴さんが亡くなられてから、その跡を引き継いで下さった東京学芸大学大学院准教授・渡辺貴裕さんによるレッスンが行われました。
 体を動かし、声を出し、サマーキャンプの準備が徐々に進んでいくようです。
 今年の演目は、「カラスのくれたきき耳頭巾」。頭巾を脱いだりかぶったりで、世界が変わることをまずしっかりと伝えられるか、そこから芝居が始まります。うまく演じ、芝居を完成させることを目指すのではなく、やりとりを楽しみ、子どもたちとどんな世界を体験できるのか、を目指します。そのためのさまざまな、小さなエクササイズやワークを取り入れてのレッスンでした。
 竹内さんが残して下さった財産である芝居の世界を、今年も子どもたちと楽しみたいと思います。
 さあ、キャンプまで、あと10日です。
事前レッスン1事前レッスン2事前レッスン3事前レッスン4事前レッスン5事前レッスン6事前レッスン7事前レッスン8

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/8/7

祝 大阪セルフヘルプ支援センター25年 

祝 大阪セルフヘルプ支援センター25年


 8月4日、午後6時半から、大阪ボランティァ協会で、大阪セルフヘルプ支援センターの総会が開かれました。前半、特別企画として、「大阪セルフヘルプ支援センターの25年、そしてこれから」のイベントが行われました。
 大阪セルフヘルプ支援センターの正式の設立は、1993年5月8日だそうで、現在26年目に入っているとのことでした。準備会が何回か開催されているときには僕は参加していなかったのですが、正式設立の会から参加し始めました。その頃に一緒に活動していた人たちとの、久しぶりの再会になりました。登壇したのは、僕のほかに、次の人たちです。

  松田博幸さん(支援センター代表・大阪府立大学教員) 
  中田智恵海さん(ひょうごセルフヘルプ支援センター)
  河地敬子さん(中卒・中退の子どもをもつ親のネットワーク)

 「セルフヘルプって何?」と言われていた時代に、「セルフヘルプ支援センター」の必要性を確信し、議論し、そして設立していった人たちの話を聞いて、その頃の雰囲気を出席者に伝えてほしいというのが、企画した人のねらいのようでした。最初、それぞれが、「あなたにとって、セルフヘルプ支援センターって何ですか?」の問いかけに、答えていきました。
 僕が、どもる人のセルフヘルプグループを作ったのは、1965年。僕自身がグループの運営で困っていたわけではないけれど、各グループのリーダーが、困ったことを相談したり、情報交換したりする場がなかったときに、支援センターのもつ意味は大きかったと思います。リーダーが、リーダーに出会えてホッとしたということになるでしょうか。セルフヘルプグループリーダーのセルフヘルプグループです。大阪セルフヘルプ支援センター1
 仲間に出会えてよかったと思いました。例会に参加したり、電話当番をしたり、信貴山で「セルフヘルプグループとは何か」について話し合う合宿したのもいい思い出です。「信貴山宣言」なる、「セルフヘルプグループの意義」を作ったりもしました。メンバーも、専門職者も多くいて、いいバランスでした。その中で、「セルフヘルプグループ一問一答」の本、朝日新聞の福祉ガイドブック「セルフヘルプグループ」の冊子作りにも関わりました。この冊子は、13のグループの実体験が掲載されていて、専門職もその立場で書いていて、今でも十分に読めるいい冊子だと思っています。
 この支援センターのおかげで、つながりが広がりました。参加していた読売新聞の記者の森川明義氏さんから、應典院の秋田光彦さんにつながり、僕たちの毎週金曜日の会場を貸していただくことができるようになりました。セルフヘルプグループのひとつの重要な点として、たとえ参加できなくても、いつもの場所、いつもの時間に、そこに行けば仲間がいるというのがあります。まさに、その重要なポイントになっています。というように、僕は、この支援センターのおかげで、大変ありがたい出会いをさせていただきました。感謝しています。

 中田さんは、口唇・口蓋裂の子どもの親で、同じようなお母さんと出会いたいと思って、グループ活動を始められました。専門書はあるけれど、そうではなく、日々の生活の中で子どもをどう育てていくのか、周りの人にどう打ち明けたらいいのか、そんな些細な、けれど重要な情報が、グループの中には山のようにあったと言います。そこから、大学院に行き、論文を書き、大学の教員になり、支援センターにつながり、大阪から独立して、ひょうごセルフヘルプ支援センターを作って、今も活動をされています。

 河地さんは、ご自分のお子さんとのかかわりで、不登校など教育の市民活動をされていました。福祉のことは何も知らなかったけれど、活動を通して、様々な出会いの中から、働く子どもを支援するようなグループがないなど、活動が広がっていったそうです。リーダーのセルフヘルプグループがあってよかったと言っていました。今も、会合を開き、ニュースレターを発行しておられます。

 松田さんは、市役所、精神科病院、保健所などで働く中で、自身もグループに関わるようになります。しんどい生活の中で、そういう生活をしている人が、社会のことや社会福祉のことを語ってもいいんじゃないかと思い、大学院に行き、セルフヘルプ支援センターの準備会にかかわるようになりました。途中、やめようという話にもなったそうですが、やっぱりやりましょうという声に背中を押され、設立に向けて活動されました。どんなグループがあるのだろうか、そのグループの整理から始めたそうです。それを相談してきた人に提供していこうと、電話相談も始めました。もう抜けたいなと思うこともあるようですが、場所と時間をキープしておくことは、安心感につながると、その存在の重要性を話しました。
大阪セルフヘルプ支援センター2
フロアーの参加者の自己紹介も交え、登壇者に質問も出ました。
長く続けてきたコツは?
・しんどいときにはしんどいと言う。
・続けてきたというより、続いてきちゃったというのが実感。傷のなめあいだという人もいたけど、それが悪いのか。傷のない人なんているのかと思っている。
・リーダーが頼りなかったので、周りがしっかりしてくれた。

 このような話が出ましたが、僕も同感です。僕は、いつ、やめてもいいと思っています。しなければいけないからしているのではなく、活動が好きだからしているだけです。

 対話の意義についての質問を受けてこう話しました。
 最近、「吃音」のことを、どもるというただ単に話しことばの特徴だけなのに、「吃音症」という人がいます。「症」がつくと、治さなければならないものになってしまいます。僕は、どもる人を、どもるというある意味辛さを抱えながら生き延びていく人だと思っています。対話を続ける中で、どもりながらもこんな体験ができた、こんなこともできたと、そんな物語をみつけていくことができます。どもりながらも豊かな生き方ができる、そんな力を持っている人だと信じているのです。

 今は、インターネットが普及し、グループに集い、顔と顔を合わせて話し合うということがなくてもつながっているという思いをもつことができるような時代になりました。それでも、僕は、人と人とのつながり、温かさを直に感じることができるグループが好きです。ネット上ではなく、直接顔を合わせて話し合うことの大切さを思います。
 大変忙しくなって、支援センターの活動にかかわることができなくなってしまった僕ですが、こうして、仲間がセルフヘルプ支援センターの続けていてくれたおかげで、25年目を迎えることができたこと、心から感謝しています。

日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二  2018/08/06

第29回吃音親子サマーキャンプ

第29回吃音親子サマーキャンプ

 「吃音の夏」前半が終わり、いよいよ後半の吃音親子サマーキャンプが近づいてきました。今年、サマーキャンプは、29回目を迎えます。申し込みの締め切りが近づいてきました。参加を検討されている方で何かお聞きになりたいことがありましたら、ご連絡下さい。 

日時    2018年8月17・18・19日
場所    滋賀県彦根市荒神山自然の家
参加費    ひとり16,000円(大人・子ども同額)
申し込み先  日本吃音臨床研究会 TEL/FAX 072-820-8244 (夜間可) 
        ※日が迫っていますので、参加を希望される方、検討されている方は、         取り急ぎ、お電話を下さい。

 吃音親子サマーキャンプは、どもる大人とことばの教室の教師や言語聴覚士が、協働で取り組む世界的にも珍しいものです。僕たちは、同じようにどもる仲間と出会い、自分の体験を語り、他者の体験を聞き、その中で新しい生き方をつかんできました。セルフヘルプグループで僕たちが得てきたものを子どもたちに伝えたいと思い、企画し、続けてきました。

 吃音親子サマーキャンプの活動の柱は、次の3つです。

ゝ媛擦砲弔い討力辰傾腓
 子どもは子どもで年代ごとに、親は親で、集まって話し合います。それぞれファシリテーターとしてことばの教室の教師や言語聴覚士の専門家と、どもる大人が入ります。
△海箸个離譽奪好鵑伴乃錣両絮
 表現活動として芝居に挑戦します。自分の声やことばに向き合い、練習し、最終日に上演します。
親の学習会
子育てで大切にしたいことや心理療法などを使って学習を深めます。

 吃音親子サマーキャンプの詳細は、日本吃音臨床研究会のホームページに掲載されています。ご参加、お待ちしています。


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/08/03

演習中心の、楽しかった吃音講習会

 演習中心の、楽しかった吃音講習会

 2018年7月28日から29日まで、千葉の教育会館で、子どものレジリエンスを育てる〜どもる子どもとの対話〜をテーマに、第7回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会が開かれました。北は、宮城県、山形県から、南は鹿児島県まで、ことばの教室の担当者や言語聴覚士が集いました。
講習会1 幕
 今回、初めて講師を招かず、吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会のメンバーが、実際に自分たちが教室で行っていることを紹介しました。演習の時間をたくさんとり、実際に体験していただくことを重視した講習会でした。演習があるのはちょっと苦手だなと思いつつ、それでも何かを求めて参加して下さった方も多く、熱気あふれる2日間になりました。今回は、今年初めてことばの教室の担当者になったという人の参加も多かったようです。

 迷走台風のおかげで、気をもみましたが、無事開催し、終われたこと、ほっとしています。参加された皆さんが、プログラム中はもちろん、隙間の時間や休み時間、よく話されていたなあという印象を持ちました。この吃音講習会の常連の方も多いですが、今年初めて参加したという方もいらっしゃいます。どんなことをするのだろうと不安を持ちながらの参加のようでしたが、すぐに打ち解けて下さり、温かい雰囲気の中ですすんでいきました。

 僕の基調講演は100分の予定だったので、『100分で名著』のように、25分くらいの話題を4つ話すつもりで始めました。なかなか思うようにはいきませんでしたが、ゝ媛擦瞭団А´▲淵薀謄ヴ・アプローチの話 K佑梁慮魁´ず2鵑垢4つの演習の意味づけ
について話しました。講習会全体の導入として、聞いていただけたと思います。
講習会3 伸二
 午後は、吃音チェックリスト、吃音キャラクター、どもりカルタと演習を進めました。チェックリストは、実際に担当者に自分がかかわっている子どもをイメージしてチェックリストをしてもらい、それをもとに話し合いをしました。大阪吃音教室でしている成人のチェックリストの講座も紹介しました。吃音キャラクターも、実際にキャラクターを描いてもらいました。それぞれに素敵なキャラクターが完成し、掲示しました。作って終わり、にならないよう、その次のステップについても話し合いました。どもりカルタも、まずはカルタとりから始めました。どのグループも真剣勝負をしていました。その後で、読み札の意味を考えたり、アレンジしたどもりカルタの取り組みを紹介しました。
講習会4 伸二と全体講習会9 キャラクターいろいろ講習会10 カルタとり
 一日目の最後は、小グループでの振り返りです。それまでの演習でもたくさん話しましたが、ここでもそれぞれが持っていることを出し合い、講習会を振り返りつつ、シェアできたように思います。
 二日目は、国立特別支援教育総合研究所の牧野泰美さんによる基調講演でした。文科省から出ている指針、幼少期からの自分の体験、対話のもつ意味など、話していただきました。講習会11 牧野
 その後、今回の特別ゲストの登場でした。若い消防士に、僕がインタビューするのですが、その前に、そのインタビューを聞くときのキーワードについてまず説明しました。レジリエンスの構成要素とポジティヴ心理学のキーワードです。そのキーワードに沿って、グループごとに話し合いをし、発表し、全体でシェアしました。「何も考えてきませんでした」と言いながらも、その場で、振り返り、自分のことを自分のことばで話していました。実は昨年のサマーキャンプの親の学習会で一度、同じような取り組みをしています。悩んだ経験からつかんだものはとても大きいなと思いました。彼は、今もいろいろ困ったり悩んだりしていると最後に話しました。それでも、工夫し、サバイバルしているのでしょう。名前は知っていたけれど、会うのは初めて、会いたいと思っていたなど、生の声を聞きたいという方に、満足していただけたのではないかと思います。講習会12 伸二と雅貴
 午後は、演習の残りの言語関係図を紹介しました。2センチ角の木のブロック125個を使い、立方体の形に並べて、それぞれの軸を減らしていって、自分の言語関係図を作ります。吃音を外に取り出し眺め、さわってみることを経験しました。講習会15 ブロックのみ

最後は、全員で円く輪になり、全体で2日間の講習会を振り返りました。気づいたこと、感じたことを自分のことばで語る、とてもいい時間でした。講習会18 ティーチイン 伸二も
 午後7時まで公式プログラムがあるというハードなスケジュール、できるだけ多くの人と話せるようにと途中で何度かあった席替え、たくさんの演習など、ひと味違う研修会でしたが、最後の振り返りでの皆さんの話を聞いて、満足していただけたように思いました。求めてきたものに出会えたと感じていただけたようで、うれしかったです。

それぞれにエピソードがあるので、少しずつ紹介できればと思います。
まずは、吃音の夏の前半、吃音講習会が無事終わったことをご報告しました。

日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2018/08/02
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