伊藤伸二の吃音(どもり)相談室

「どもり」の語り部・伊藤伸二(日本吃音臨床研究会代表)が、吃音(どもり)について語ります。

2013年01月

「どもりは治らない」に輝く目


  1月11日のことばの教室訪問

 前回の続きです。子どもたちとお母さんが別々に活動する時間です。子どもたちは、私たちが多くの仲間たちと作った、「学習・どもりかるた」をするために、別の部屋に移動し、私は保護者と丸く向き合いました。子どもとはちがって、お母さんにはたくさん質問があるようでした。まず、いつでも、どこでもか必ず出る質問です。

 「どもりは治りますか?」
 この質問をする親の背景、気持ちは実に様々です。治してあげたいと切実に願って、わらおもつかむ思い出質問刈る人、いろいろ試みて、また幼児期に専門家から「そのうちに治りますから、心配しなくてもいいですよ」と言われて、信じて待っていたのにいっこうに治る気配がない。あきらめかけている人。「治るはずだ」と考えて子どもに接することに疲れてきた人。今回質問して下さったお母さんは、少し気になるお母さんでした。表情が少し硬くて、他のお母さんに比べてですが、緊張気味で笑顔がありません。それは、ある意味当然のことでした。後で聞いたことですが、ことばの教室に来始めてまだ間がなく、今回初めてだったか、2回目だったか、あまりことばの教室の担当者とも話し事がなかったからです。

 まず私は「どりが治る」ことについて三つのレベルを話します。
  ゞ気でもすうように自然で、いつでもどこでもどもらなくなる。意識することもない。、
 ◆ゝ媛擦鬟灰鵐肇蹇璽襪任るようになり、意識はしているが、実際にはどもっていても相手にはわからない。
  どもっていても、吃音を受け止めて生きて、吃音は「治まり(おさまり)、困ることも、悩むこともない。

 小倉アナウンサーや木の実ナナさんなどは△世叛睫世掘↓,砲覆襪海箸脇颪靴い、結果として△砲覆襪海箸呂△蠧世泙后かつての私もそうでした。しかし、それは自然に身につくもので他人が教えられ、訓練してできるものではない。になることは多くの人がなっている。
 というような話を、いろんな具体例を紹介しながら話します。
 その夜のことばの教室の先生たちとの懇親会でわかったことですが、ビデオをとっていた人が、「治らない」と聞いたとき。目が輝いて、表情が緩んだことにびっくりしたと話して下さいました。ふつう、このような゛場面でビデオをとる時、話している私を中心に撮影するのですが、今回は親の表情を撮影していたようで、親がどんどん話に集中し、前のめりになっていき、「治らない」の場面での親の表情をカメラのファインダーを通してみていたのでしょうか、向き合っている私にはわからなかったのですが、撮影者にはとても新鮮に見えたそうなのです。

 「どもりは治らない」と話されて、表情が曇る、シヨックをうける保護者にはたくさん出会ってきました。最近は、今回の親のような、表情だけではわかりませんが「ほっとする」「はっきり言ってもらってよかった」という親が多くなったと感じます。どもる私たちが「どもりは治るはずだ」として、自分を生きることができなかったように、お母さんたちも「治るはずだ」で子どもと接することに問題を、感じ始めたからでしょうか。

 親の表情の変化に焦点をあわせて、親との話し合いを見聞きしていた、ことばの教室の先生の貴重な報告でした。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013/01/13

神奈川県のことばの教室で子どもたちに会いました。

 秦野市のことばの教室巡回訪問指導

 このような名目でことばの教室を訪問しました。1年生から6年生の子ども6人とその保護者、ことばの教室の教師4人と学校てサポートしている人ふたりでした。
 子どもたちが前列で保護者がその後ろで、まずゲームをした後、全員が自己紹介、子どもたちも自分の名前だけではなく、自分の得意なことを話していきます。その後、「さあ、伊藤さんに話していだきます」と言われても、なかなかはなせるものではありません。子どもたちもグループの学習は初めてで、今日初めて出会う子どももいます。こんな場合、とても難しいです。年末三重県の津市で同じような場面設定だったのですが、よく話す子、話したいと思っている子が1人でもいると話しやすく、とても盛り上がったのですが、いくら子どもとの話し合いになれているといっても、初めての場で、子どもたちもそのような場が初めてだと難しいものです。

 それでもなんとか、「ぢうしてそんな話し方なの?」と聞かれたり、どもることをまねされたりする時、どうするかという、必ず子どもたちから出される話になりました。これは、ど 
こでも必ずだされる話題です。大なり小なり子どもたちは、このような状況で、サバイバルしているのだということがよくわかります。その中で、クラスのこどもが理解してくれるようになって、楽になったという子がいました。クラスの子どもたちは、悪意があって、「どうしてそんな話し方なの」と聞くのではなく、単純にわからないから聞く場合が多いので、今は理解されても、中学や高校に行っても、どもりのことを説明しなければならないという話になりました。説明する能力が必要になります。

 ことばの教室で、もし今度からかったりしてきたら「僕は、そんなことをされとる嫌なんだ」「怒りたくなるんだ」と自分の気持ち伝える練習をことばの教室でしていたら、残念ながら、そのような場でいわなくなったので、せっかくの練習が生かされなかったという話は、そのような場面を予想して、練習をしたことが、かれの自信につながり、それが態度にあらわれたから、以前、言っていた子ども言えなくなったかもしれないとの話になりました。
 何を質問してもいいよに「大阪のお好み焼きはおいしいですか」「大阪の人は優しいですが、どうしてですか」の質問はおもしろいものでした。「大阪の人は優しい」には少し驚きましたが、「大阪の人は、人に興味や関心があって、道ばたで困っている人がいたら、気軽に「どうしたん」と聞くからかもしれないね。などと、わけのわからないことを言いましたが、「大阪」への関心があるのはうれしいことでした。
 次回は、保護者との話し合いについて、書きます。
 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013/01/12

北九州で相談講演会


 毎年、北九州市立障害福祉センターが相談講演会を開いて下さいます。
 今年も、つぎのような案内を作って下さいました。
 この地方の方よかったらご参加下さい。



吃音講演・相談会
『吃音否定から吃音肯定への道筋』
ナラティヴ・アプローチの考え方に基づいて、吃音の具体的な対処法を提案します。


日本の吃音指導のリーダー的存在であり、本人が吃音当事者である伊藤伸二氏をお招きして、講演・相談会を行います。多くの方の参加をお待ちしています。

1 日時 平成25年2月3日(日)
第1部(幼児、小学生、中学生の部) 午後1時30分〜4時
対象者:吃音幼児・小・中学生の親、保育士、幼稚園・小学校教諭等。

第2部(高校生、大人の部)   午後6時〜8時30分
 対象者:吃音で悩んでいる大人(高校生以上)とその関係者

2 会場 北九州市立障害福祉センター 
     北九州市小倉北区馬借1丁目7−1(総合保健福祉センター3階) 
電話 093-522-8724  Fax 093-522-8772

3 講師 日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二
講師略歴:大阪教育大学非常勤講師、言語聴覚士養成専門学校非常勤講師、
日本吃音臨床研究会会長、国際吃音連盟顧問理事
テレビ出演:NHK教育テレビ「にんげんゆうゆう」、TBSテレビ ニュース
バード「ニュースの視点−特集・吃音」。
著書:「親、教師、言語聴覚士が使える、吃音ワークブック」「どもる君へ、いま伝えたいこと」「どもりと向きあう一問一答」(解放出版社)、「治すことにこだわらない、吃音とのつき合い方」(ナカニシヤ出版)、「吃音と認知行動療法」「話すことが苦手な人のためのアサーション」 (金子書房)、「学習どもりカルタ」(監修 日本吃音臨床研究会)等。
DVD教材:「吃音を知る」。 

4 参加費 無料

5 主催  北九州市立障害福祉センター

6 申し込み、問合せ先    北九州市立障害福祉センター  田中・徳本
電話 093-522-8724  Fax 093-522-8772

大阪に戻りました。


 今年の初仕事は、小学校の教員研修でした。

 湯布院での2週間もあっという間に終わり、大阪に戻りました。毎年、一日の流れが速くなっていくようです。湯布院での執筆が思うようにはすすまず、まだ一年の始まりだというのに、焦り始めています。毎年、仕事に追いかけられていますが、今年こそは、仕事を追いかける年にしたいと思いますが、先が思いやられます。

 今日は、大阪府八尾市の小学校の教員研修会い゛話してきました。どもる子どもの保護者から、子どもの理解を担任だけでなく、学校全体でして欲しいとの、強い要望で実現しました。学校全体でこのように研修をして下さるのはとてもありがたいことです。
 自己紹介した後、事例研究のようにしながら私の体験を話しました。ひとりひとり指名をしていく私の講演の仕方に、話をきくだけと思った先生方はとまどわれたことでしょう。みなさん、しっかりと受け答えをして下さいました。昨年の大阪府私立学校の人権講座のような感じで、どもる子どもに教師としてどう関わるか話しました。2時間という時間は私にとってはあまりにも少なく、伝えきったという感じがしなかったのは残念でした。

 一人一人を指名して対話形式ですると、時間のロスがあるのですが、最近の私は、一方的に話し続けることが出来なくなっています。どこまで私の話がつたわったか、振り返る時間がなかったのですが、「親・教師・言語聴覚士が使える、吃音ワークブック」と、「どもる君へ いま伝えたいこと」(解放出版社)の2冊を学校で買っていただきましたので、今後どもる子どもを担当したとき、今日の話と合わせて、どもる子どもに向き合って下さるものと思います。

 どもる子どもに、勝手な思い込みで配慮しないで欲しい。幼稚園のこどもであっても、子どもに「どもり、吃音」ということばを使って、こどもの説明して欲しい。こどもがどうして欲しいか、つねに子どもに相談して欲しい。ナラティヴ・アプローチの無知の姿勢で子どもに教えてもらうようにして欲しい。吃音の氷山説、アドラー心理学の劣等コンプレックスと共同体感覚の育成。これらのことは話せたと思うので、まあ今年の初仕事は良しとしましょう。

 今週末は、東京吃音ワークシヨップです。どのような出会いがあるか、楽しみです。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013/01/09

ゲシュタルト・セラピー

 遅ればせながら昨年の活動の紹介です。

 昨年秋の吃音ショートコースは念願のゲシュタルト・セラピーでした。
 倉戸ヨシヤ先生とは本当にひさしぶりでした。高野山や琵琶湖などで、またクローズの集中訓練など、ずいぶんお世話になっていましたが、なかなかワークシヨップには参加できないでいました。吃音ショートコースに来ていただけないかとお願いしたところ、この時期、臨床心理士の国家試験の面接があるとおっしゃりながら、私たちの日程を優先してくださいました。日本吃音臨床研究会や、大阪スタタリングプロジェクトの仲間に、ゲシュタルトセラピーの哲学や実際のセラピーを体験してほしかったからです。

 初日、の夜は私たちのプログラムである発表の広場です。
 吃音親子サマーキャンプの報告や、夏の臨床家のための講習会の報告や、個人の体験発表などに耳を傾け、自分たちの活動や思想・哲学を皆で確認できるとてもいい時間です。このプログラムがあるから、あとの2日間のメインプログラムが、吃音との関連でとてもいきたものになるのです。このプログラムの終わりに、大阪スタタリングプロジェクトが主催する、ことば文学賞の授賞式があります。今年で13回になった文学賞、13編の応募があり、その中から優秀賞2編と最優秀賞1編を選ばなくてはなりません。

 何度も読んでも甲乙つけがたくいつも迷います。やっと授賞式直前に決めました。最優秀賞は、一時は就職活動をあきらめていたのが、私たちの大阪吃音教室に出会って、もう一度就職活動を再開し、40社の就職面接を受けた人の体験で、一人の吃音とともに歩きはじめるまで丁寧に描かれた作品でして。受賞作品3編を読み上げるのですが、それぞれの吃音人生に出会う、私にとってとても幸せな時間です。

 実践発表や体験発表そして、文学賞の発表の時間、私たちの活動の豊かさを実感できると同時に、講師としてきてくださった方に、吃音の実態を知っていただく貴重な時間でもあります。今回も、倉戸先生が聞いてくださり、コメントもくださいました。
 いよいよ明日から、ゲシュタルトセラピーの吃音ショートコースが始まるのです。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013年1月2日

今年も源流太鼓で一年が始まりました。

 
 新しい年に気持ちも新たに


 湯布院では1月1日、金鱗湖の有名な旅館、亀の井別荘の庭で源流太鼓の初打ちが披露されます。今年で私は3年目ですが楽しみにしています。雪の荒れる天気の予報が外れて、暖かい元旦で、湯のつぼ街道もにぎわっています。楽しみにしていたのですが、昨年とはずいぶん違っていました。
 昨年は、2011年3月11日の東日本大震災で亡くなられた多くの人への鎮魂のいみがあったのでしょうか。太鼓も特大のものがトラックで運ばれ、その上で大太鼓を打つという大掛かりなものでした。演奏する曲もいつもとは違った特別のものだったのです。前年のイメージがあったので、小ぶりになった今年は違う響きでした。
 私自身も津波でなくなった、吃音親子サマーキャンプの親子のことがまだ生々しかったこともあって、太鼓の響きに合わせて彼女たちに語りかけていたからかもしれません。被災地の人々が「私たちのことを忘れないで」というのがとてもわかる気がしました。日々の生活の中で、大きな悲しみは、それなりに小さくなっていくのですね。昨年とは違う、太鼓の響きにそれを感じました。彼女たちのことは決してわすれません。私の講義や講演で語り続けていきます。


 今年は昨年のメンバーに小学6年生が加わっていました。1日6時間の練習をしてきたそうです。メンバーに加わって1年の人もいて、伝統が守られていくのがすごいことだと思いました。私にとって湯布院がこんなに近いのは、かって、九州大学の村山正治先生の、福岡人間関係研究会のベーシックエンカウンターグループが、春休みにあり、私もファシリテイターの一人としてくわわらせていただいていたからです。10年近く続いたこのグループは終わりましたが、いろんなグループのいろんな人との出会いが、鮮明に思い出されることもあります。そのときの宿舎が「いよとみ荘」という旅館でした。当時お世話になったご夫婦に代わって息子さんが今経営しているのですが、その息子さんが、源流太鼓の一員として太鼓をたたいていました。
 地域に住んで、地域の家業をついで、地域の伝統芸能を守る活動に参加する。これはうれしいこです。

 さあ、この一年、私も吃音に関していろいろとしなげればならない仕事があります。元気でがんばろうと思います。

 読んでいただいている皆さんにとって、良いお年でありますよう。
 今年もよろしくお願いします。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013年1月1日
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