3月に入り、2020年度末が近づきました。この1年間、僕たちの主催する吃音親子サマーキャンプや臨床家のための吃音講習会、その他、講師として招かれている吃音キャンプや研修会や吃音相談会、研修会など、ほぼ全てが中止になりました。
 そんな中で、昨年7月に予定されていた日本小児科医会の第22回「子どもの心」研修会が、今年の2月に延期されていました。その2月も、結局は、ライブ配信という形になりました。もともとの会場ではなく、東京駅近くに設けられた特設会場で講演しそれを配信するか、自宅からリモートで講演するか、事前に講演動画を作って事務局に送るかの選択でした。IT関係は全く苦手な僕は、東京に出かけるしかないと思っていたのですが、友人に相談すると、「お安いご用だ」と、事前に講演動画を作ってもらえることになりました。
小児科撮影2小児科撮影3小児科撮影1 聴衆は全員、小児科医師です。時間もきっちり1時間と決まっています。僕にしては珍しいのですが、原稿を書き、寄り道をしないで原稿に忠実に、話す準備をしました。
 コロナ感染の緊急事態宣言中で、撮影会場が簡単には見つかりません。地域で多くの役員をしている友人は、その関係で今はNPO法人が使っている元小学校の校舎を撮影場所にしてくれました。
 撮影当日、撮影会場に行くと、カメラ2台、ライトも2つあり、たくさんの機器がセットされていました。まるでスタジオに入ったようです。背景は白い壁で、ピンマイクをつけ、パワーポイントの資料を流しながら、1時間、講演しました。慣れていない原稿を読みながら、カメラにも目を向けるという、僕の一番苦手な、というよりも、これまでしたことのない講演スタイルです。
 僕が大写しになったり、パワーポイントの資料が大きく映るときには、僕は端っこに小さく映ったりの動画編集を2日後には受け取り、無事、締め切り前に小児科医会事務局に送りました。本当に貴重な、おもしろい体験をしました。

 研修会当日は、本来予定されていたプログラムどおりにライブ配信されることになっています。しかし、研修会当日の2月20・21日は、大阪吃音教室の年に一度の運営会議の日でした。小児科研修会のことが気になる中で、運営会議が始まりました。運営会議の会場は、いつも大阪吃音教室が開かれるアネックスパル法円坂です。19人が集まり、今年一年の大阪吃音教室の日程、ニュースレター編集の担当、世話人、どの講座を誰が担当するかなど、話し合いました。その時の様子は、また後日報告したいと思います。
 小児科医会事務局から、研修会を視聴するためのURLを送ってもらっていたのですが、運営会議と日時が重なり、またアネックスパル法円坂には、Wi-Fiの環境がなく、残念ながら、初日の研修会の様子を見ることはできませんでした。
 僕自身の講演は、21日(日)の午後からでした。運営会議は、日曜日の正午過ぎまであります。それから自宅に帰っていては、間に合いそうにありません。近くのWi-Fiの環境のあるところを探すと、モスバーガーとカラオケ店がありました。大阪吃音教室の運営会議の終了を少し早めてもらい、カラオケ店に入りました。
小児科 始まる前伸二とパワポ最後の方 カラオケ店に入り、パソコンを起動させ、URLをクリックすると、午後の部は、12時35分からですとの表示が出てきました。僕の前は、「小児科診療に活かす認知行動療法」との演題で、岡田あゆみさんという小児科の先生が講演しました。1時間の講演が終わると、次は、僕の講演です。13時45分から始まりました。小児科の先生向けなので、「支援」ではなく「援助」のことばを使い、演題は、「どもる子どものための小さな援助論〜ナラティヴ・アプローチ、当事者研究、レジリエンス、健康生成論を通して〜」としました。10分の休憩の後、事前に送っておいた動画が始まりました。自分が講演している姿を、パソコン画面で見るという、おもしろい体験をしました。
 後日、小児科医会事務局の方から、研修会当日は、630名ほどの人が聞いて下さったと報告がありました。
 日本小児科医会の「子どもの心」研修会で講演するのは、2012年以来、2度目です。そのときは、東京の会場に行き、たくさんの聴衆の前で話をしました。
 今回、コロナの影響で、対面での話はできませんでした。どもる子どもの親が、子どもの吃音を心配して初めて相談に訪れる病院の小児科に言語聴覚士が常勤しているところもあります。小児科の医師が、言語聴覚士に指導の指示を出すので、小児科の先生が吃音について理解しておいてもらうことが必要です。吃音を否定しない対応をしてくれたらと願いながら、話をしました。少しでも、心に留めて下さる人がいてくれればと思います。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/3/1