いい聞き手がいるところで、人は語ることができる

 8回目となる東京でのワークショップ。吃音と向き合い、語り合う 伊藤伸二・吃音ワークショップの名前のとおり、しっかり真剣に自分と、吃音と向き合った1日ワークショップでした。
 今回の参加者は、17名でした。
東京ワーク 伸二1 「ストレスや苦手とつきあうための認知療法・認知行動療法」(金子書房)の本を何度も読んで、会いたいと思っていたところ、ブログで東京ワークショップのことを知り参加した人。吃音のために諦めてきたこれまでの人生を振り返り、どもりに左右されずに生きたいとメールで申し込んできた人。
 ワークショップ直前にメールでの問い合わせがあり紹介したら即参加を決めた小学校教員をしている人。場数を踏んでもどもることの恥ずかしさは消えず、失敗だけを覚えていて自信がない、でもなんとかこの状況を抜け出したいと考えている人。小学5年生のときから吃音親子サマーキャンプに参加し、今は幸せに生きているが、将来の息子のことを考えたくて参加した人。学童期・思春期のどもる子どもたちへの支援の在り方を考えたいと申し込んできた当事者であり言語聴覚士をしている人。など、全国各地からの参加でした。
 最初は、簡単に自己紹介から始めました。いつだったか、この自己紹介だけで午前中が終わってしまったこともありました。それだけ、いろんな思いをもって参加して下さったのでしょう。今回はそうならないよう気をつけながら、ぐるっと一通り簡単な自己紹介してもらいました。
 このような場に参加すること、それ自体、とても勇気のいることだろうと思います。ホームページを見てもらえれば、僕は、顔も出しているし、どんなことを考えているのかも明確に書いているので、僕のことは大体分かって参加して下さるのだろうと思うのですが、それでも、どんな場になるか分からない、どんな人が参加しているか分からない所に来る、そのことにまず敬意を表します。僕はワークショップの冒頭に、僕自身が1965年にどうしても吃音を治したくて訪れた、憧れの吃音治療所である、東京正生学院の門を前にして、入れなかった事を話しました。1時間以上建物の周りをぐるぐる回って、ようやく決心して入ったのです。

東京ワーク みんな1 和やかで、温かい雰囲気の中で、どの人も率直に自分を語って下さいました。うなずいたり、笑ったり、拍手が自然と起こったり、そこには共感の輪が広がっているようでした。初めて参加した人も、たくさん語って下さいました。それは同時に、参加している人たちが、真剣に話に耳を傾けるいい聞き手であったことを表しています。いい聞き手がいるところで、人は語れるのです。
 今回は、僕と誰かひとりが前に出て、対談のようにして公開面接をするという形はとらず、円くなったままで進めました。初めて参加された方を中心に、ひとりずつと対話をしていきました。ある程度まとまった話をした後に、その他の参加者が自由に発言していきました。ひとりひとりの人生に触れることのできたいい時間が流れました。
 具体的な内容については、個人のプライバシーを守ることを慎重に考えながら、紹介したいと思います。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/1/23