私の願いは、吃音を治すことではなく、子どもが自分の人生を楽しく歩んでほしいということだった

豊中 伸二ひとり 子どもたちに向けて話すとき、いつも僕は自分がしてきた失敗を話します。僕の吃音に関する失敗とは、吃音を否定し、どもりたくない一心で、吃音を隠し、話すことから徹底的に逃げてきたことです。そのために、勉強も遊びもスポーツも友達関係からも逃げました。その失敗を子どもたちに繰り返して欲しくない。その一心で僕はいつまでも、吃音に関わり、話し続けているのだと思います。もちろん、そこからどう吃音に向き合い、今の幸せで充実した生活に至ったかも話します。
 今回は、豊中市の阪急曽根駅の近くの朝日新聞店で住み込んで浪人生活をしたことを話しましたが、今から考えると、大都会へ一人で出て、新聞配達店に住み込んで浪人生活を決心したのは、僕に「自立性」があったからだと、普段はあまり話さない話もしました。
 前回と同様、吃音教室終了のあとすぐに書いて下さった感想の、保護者の分を紹介します。
 
・吃音が治るように今まで考えていたけれど、無理に治す必要はなく、一緒に向き合っていってあげればいいと思いました。(保護者)

・体験を交えた貴重なお話、ありがとうございました。息子が、「考えていないことを考えられた」と発言していました。難しいながらも、いろいろと感じ取っていたのだなと思いました。本を読むこと、歌うこと、話すこと、全て好きなことなので、これからも、これらのことを楽しみながら大切にして、過ごしていけたらと思います。(保護者)

・伊藤さんの、自分の吃音をのりこえて生きている話を聞けてよかったです。(保護者)

・親子での会話の時間を増やして、子どもがたくさん話す時間を持ちたいなと思いました。(保護者)

・自分の子どもの他にも、吃音の子がいるというのが分かってよかった。(保護者)

・貴重なお話をありがとうございました。家族での会話の大切さを痛感しました。これから成長していく中で、大変なことも多いと思いますが、家族みんなで吃音について勉強し、のりこえていきたいと思います。(保護者)

・今まで吃音は大人になったら治るだろうとか、もしずっと治らなかったらどうしたらいいかなど、なんとなくの不安しかなかったが、最終的な私の願いは、吃音を治すことではなく、我が子が自分の人生を楽しんで歩んでいってほしい!ということだと気づきました。吃音があっても、たくさんの人が好きなことをして、楽しく過ごしていることが分かって、これからも親子の対話を大切に、家が一番居心地がいい場所にしてあげたいです。(保護者)

・吃音に関して、インターネット等で調べて治るものと思っていたので、伊藤さんから「どもりは治らない」と教えていただいて、びっくりしたと同時に、今後は息子のどもりを認め、どもりを否定せず、誠実につきあうように努めようと思いました。今後は、子どもとたくさん対話をし、読み聞かせや読書をしっかりして、考え続けることができる人間に、親子共々なれるようにがんばりたいと思います。今日は、伊藤さんの体験談を聞けて、すごく参考になりました。貴重なお話をありがとうございました。(保護者)

・正直、成長していく中で不安もあります。確かに考える力、対応する力が本当に必要だと感じます。本人の柔軟性と物事に取り組む姿勢を大切にしたいと思います。子どもの一番の理解者でいます。(保護者)

・このような吃音教室に通う前は、通えば治ると思っていました。最初、伊藤さんは、はっきりと「治りません」と言われたときは、息子、大丈夫かなと心配になりました。伊藤さんの話を聞いて、頭がやわらかくなったというか、難しく考えすぎてたなと思いました。なかなか、子どもと話すことも少なくなっているので、たくさん話していきたいと思います。息子は怒ると思いますが、ゲームの時間を減らすことから始めます。(保護者)


豊中 横から全体 初めて、自分以外のどもる子どもに会ったという子どもや保護者もたくさんいる中での僕の話でした。このような集まりに参加したのも初めてということでした。正直なところ、どれだけ伝わるだろうかと少し心配していましたが、感想を読ませていただき、しっかりと聞いていただけたことが分かりました。うれしい経験でした。

 23日の豊中に引き続き、31日には、滋賀県の栗東・草津のことばの教室の担当者の研修会に行きます。その翌日に広島に移動し、週末は、第21回島根スタタリングフォーラムに参加します。
 大きな会場での講演も悪くはないですが、僕は、こうした小さな集まりに出かけていって、目の前の人と語ることが好きです。依頼を受けたら、都合のつく限り、お受けし、小さな辻説法を続けていきたいと思っています。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/10/29