『どもる子どもとの対話〜ナラティヴ・アプローチがひきだす物語る力』

41xDLTUJWlL._SX342_BO1,204,203,200_ 昨年12月、金子書房から出版した『どもる子どもとの対話〜ナラティヴ・アプローチがひきだす物語る力』。12月にきちんと紹介したつもりでいたのですが、初めて手にしたときのことや、八重洲ブックセンターにかわいいポップをつけて並べてあったことなどは写真とともに紹介していましたが、本の内容についての詳しい紹介はしていませんでした。発行から5ヶ月が経った今、改めて内容を紹介します。

 『どもる子どもとの対話〜ナラティヴ・アプローチがひきだす物語る力』
      伊藤 伸二・国重 浩一 編著 金子書房  定価 2,376円(税込み)
                           2018年12月25日発行 

 「吃音に対する否定的な物語」を書き換えることが大切だと僕たちは考えてきました。そのために、子どもと親、子どもとことばの教室の担当者や言語聴覚士が、どもる子どもとどのように対話をしたらいいか。ニュージーランドの大学院でナラティヴ・アプローチを学んでこられた、臨床心理士の国重浩一さんと、吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会の仲間たちがディスカッションして作り上げた本です。
 どもる大人のナラティヴが変わった体験も紹介し、どもる子どもにかかわる人だけでなく、どもる大人にとっても、より豊かに生きるためのヒントが得られると思います。

【目次】
『どもる子どもとの対話』に寄せて         統合的心理療法研究所 平木典子
序章 どもりのふしぎさ                         国重浩一
1章 ナラティヴから読み解く、吃音の特徴と吃音問題の本質        伊藤伸二
2章 どもる子どもとのナラティヴ・アプローチ的な対話の実際    
                       睫攅戚/渡邉美穂/溝上茂樹/黒田明志
3章 ナラティヴ・アプローチとはなにか                 国重浩一
4章 それぞれのナラティヴが変わる               吃音の当事者ほか
5章 どもる君へ                            伊藤伸二
『対話』への期待              国立特別支援教育総合研究所 牧野泰美
   

【詳しい内容の紹介】     
序章 どもりのふしぎさ 
 ナラティヴ・アプローチの専門家である国重さんが「吃音」とどう出会い、関心をもつようになったか、ナラティヴ・アプローチから見た「吃音のふしぎさ」から、吃音とナラティヴ・アプローチの相性の良さが読み取れます。

1章 ナラティヴから読み解く、吃音の特徴と吃音問題の本質 
 吃音に対する否定的な物語と、「吃音は治る、治すべきだ」との言説が人生を縛ったと考え、その物語を書き換えていった伊藤伸二が、吃音に悩み始めた原因と、悩みから解放されていったきっかけを整理。世界の吃音研究・臨床の動向やさまざまな領域から学び、対話を続けたことを基に、吃音の特徴と吃音問題の本質を解説。

2章 どもる子どもとのナラティヴ・アプローチ的な対話の実際
 どもる子どもの吃音の否定的なストーリーを肯定的なものに書き換える共著者としてのことばの教室の教員が、実際にどもる子どもと対話している、ことばの教室での11の学習場面の紹介。
☆初めて子どもと出会うとき ☆吃音チェックリスト・吃音の氷山 ☆言語関係図 
☆どもりカルタ ☆吃音キャラクター ☆当事者研究
 
3章 ナラティヴ・アプローチとはなにか
 ナラティヴ・アプローチとは何か、初歩的なところから、最も大切な核心部分までを専門用語をできるだけ使わずに解説。ナラティヴ・アプローチの主要な用語も、会話の流れに沿って説明。さらに、臨床に役立つ外在化の実際の会話の例を紹介し、ナラティヴ・アプローチを初めて知る人にとっても、関心がもてるように国重浩一さんが分かりやすく解説。

4章 それぞれのナラティヴが変わる
 どもる子ども、どもる大人、どもる子どもの親、言語聴覚士、ことばの教室の教員が、これまでの吃音の否定的なナラティヴ(物語)からどう変わったかの様々な体験を紹介。
☆世界的なミュージシャンの故スキャットマン・ジョンさんの体験
☆世界的な小説家のデイビッド・ミッチェルさんからのメッセージ
☆消防士になりたいという夢をもち、実現させたひとりの青年のインタビュー
☆大阪吃音教室の仲間、看護師・山本直美さん、会社員・藤岡千恵さんの体験も収録。
☆言語聴覚士の池上久美子さん(カナダ・アルバーター大学吃音治療研究所)の、自身の吃音臨床経験を丁寧にみつめ直し、「吃音を治す、改善する」の考え方から変わっていった体験。北米の吃音事情の貴重な報告も収録。

5章 どもる君へ
 伊藤伸二が語る、学童期・思春期の子どもに直接語る書き方で、「どもる君へ」の16のメッセージ。

 ナラティヴ・アプローチと初めて出会う人への基礎的な解説書にもなっています。
 ぜひ、お読み下さい。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/5/31