第5回吃音講習会、夏、愛知で開きます


吃音の夏の到来です。
今年で、第5回目となる吃音講習会の案内をします。
今年のテーマは、昨年に引き続いて、「子どものレジリエンスを育てる」で、滋賀県立大学の松嶋秀明教授を講師に迎え、レジリエンスをどもる子どもの指導にどう生かすか、参加者とともに一緒に考えます。
多くの方のご参加をお待ちしています。
これまでの講習会に、どのような講師が来て下さったのか、そして、講師を交えて、参加者のみんなでどのようなことが話し合われてきたのか、このブログで、少しずつ紹介していきたいと思っています。

 詳しくは、吃音講習会のホームページをご覧下さい。
 講習会の参加申し込み書なども、ホームページから、ダウンロードすることができます。


−親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会−
アドレス:http://www.kituonkosyukai.com/



 今回は、まず、今年8月、愛知県で開催する第5回吃音講習会の案内です。

各所属長並びに関係の皆様
               吃音講習会実行委員会
              顧問 牧野泰美        
               (国立特別支援教育総合研究所)

「子どものレジリエンスを育てる」
第5回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会のご案内

1 趣旨
 最近、発達障害者支援法の支援対象に吃音が入っていることが新聞等で取り上げられ、目にすることが多くなりました。親、ことばの教室の教師、通常の学級の教師は、この状況をどう受け止め、どもる子どもとどうかかわるか、吃音やどもる子どもにかかわる自分の姿勢を明確にする必要があるように思います。
私たちは、吃音を発達障害としての支援を必要とする子どもとしてではなく、苦労や困難があっても、自分で自分の人生を生きる子どもに育つことを支援します。吃音を言語障害、発達障害ととらえるのではなく、吃音を紀元前の時代から、人間と共存してきた、人間として向き合うテーマだと考えます。そのため、当事者研究、ナラティヴ・アプローチ、レジリエンスをもとにした取り組みが、言語指導以上に必要だと確信しています。
「吃音の課題は、どもることにあるのではなく、吃音を否定することで起こる影響、つまり、吃音を隠し、話すことを避ける行動、吃音は劣ったもので、治らないと幸せになれないなどの思考、どもることへの不安や恐怖、どもった後の惨めな感情にある。この課題に向き合い、日常生活の中での困難を自らの力で対処する力が育つために、子どもに同行するのが、教師や臨床家の役割だ」
 吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会では、このように考えて、吃音講習会を開いてきました。第1回は「子どもと語る吃音肯定の物語」、第2回は「当事者研究」、第3回は「ナラティヴ・アプローチ」、第4回は「子どものレジリエンスを育てる」をテーマにして、講習会を続けてきました。第5回目の今回の吃音講習会は、これまでの議論を引き継ぎ、昨年と同様「子どものレジリエンスを育てる」をテーマにします。
 『児童心理2014年8月号』(金子書房)、『教育と医学2014年1月号』(慶應義塾大学出版会)で「レジリエンス」の特集が組まれるなど、精神医学・臨床心理学などの領域で注目される「レジリエンス」が、教育の世界でも関心がもたれるようになってきました。「逆境を乗り越え、心的外傷となる可能性のあった苦難から新たな力で勝ち残る能力、回復力」というレジリエンスの概念は、どもる子どもの支援にとってもっとも必要なテーマだと言えます。
 「吃音と発達障害」の議論は避けて通れません。吃音講習会ではその議論を踏まえ、真に子どもに役立つ支援について考えます。
 今回は、ナラティヴ・アプローチ、レジリエンスをもとに、スクールカウンセラーとして、少年非行など学校臨床に取り組んで来られた、滋賀県立大学松嶋秀明教授を講師に迎え、レジリエンスの基本的な考え方を学び、レジリエンスをどもる子どもの指導にどう生かすか、参加者と実践を交流しながら、一緒に考えます。
 全国のことばの教室の担当者、関係する教師、言語聴覚士、保護者と一緒に、日ごろの取り組みを見つめ直し、新たな展望を開くために、熱く、楽しく有意義な時間を作りましょう。
実行委員長 奥村 寿英(愛知県岩倉市立岩倉東小学校)

2 主 催  吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会

3 後 援  NPO法人全国ことばを育む会
岩倉市教育委員会
愛知県言語・聴覚障害児教育研究会(申請中)
4 日 時  2016年8月11日(祝)10:00〜19:45
              12日(金) 9:20〜16:15

5 会 場  愛知県・岩倉市生涯学習センター 研修室1・2
 愛知県岩倉市本町神明西20番地 サクランド岩倉(岩倉駅東開発ビル)2階
        TEL 0587−38−0100

6 アクセス 
       名鉄電車・犬山線「岩倉」駅改札口から徒歩2分(岩倉駅地下東西通と直結)
◆JR名古屋駅からお越しの場合
。複厂掌轍葦愃通り口(東側)から出て右方向へ行き、名鉄名古屋駅の改札へ。
¬湘憾せ垣(緑色)で犬山方面の電車に乗車。乗車時間は、約14分。
4篩勹悗撚室屬掘改札を出て右方向へ。案内表示に従って直通地下道から、エレベーターで2階へ上がる。

7 内容・プログラム 予定
8月11日(木・祝)9:30  受 付
10:00−11:30  基調提案 ^貌伸二・日本吃音臨床研究会
11:30−12:30  昼 食
12:30−14:00  講義 ‐湘莉明・滋賀県立大学人間関係学科教授
14:15−15:45  講義◆‐湘莉明
16:00−18:00  対 談 松嶋秀明&伊藤伸二
18:15−19:45  グループ討議
20:00−       懇親会(希望者のみ)

8月12日(金)  9:00  受 付
 9:20−10:05  基調提案◆峙媛擦犯達障害、障害者手帳」
  牧野泰美・国立特別支援教育総合研究所総括研究員
10:05−10:50  実践発表とふりかえり
               黒田明志(千葉県千葉市立花見川小学校ことばの教室)
11:00−12:30  演 習 仝開面接、グループ討議
              ・伊藤伸二による公開面接と、それを受けてグループ討議
12:30−13:30  昼 食
13:30−15:00  演 習◆仝畫庵罎量明椹例のまとめ、面接ポイント解説
15:15−16:30  みんなで語ろう、ティーチイン

8 講習会参加費  5,000円

9 参加申し込み  参加ご希望の方は、参加申込書に必要事項を記入し、郵送、またはメールに添付し下記の申し込み先までお送りください。同時に郵便局より参加費の振込をお願いします。入金確認ができましたら、受講票をお送りします。
申し込み締め切りは2016年8月8日(月)です。
なお、参加費は当日キャンセルされてもお返しできません。受講票は他の方にお譲り下さい。

※郵便振替 加入者名:吃音講習会 口座番号:00960−0−282459

10 申し込み先   愛知県岩倉市立岩倉東小学校 ことばの教室  奥村寿英
            〒482−0041 愛知県岩倉市東町掛目1番地
          Mail:kituon-kosyukai@live.jp

11 問い合わせ先  日本吃音臨床研究会 TEL/FAX 072−820−8244
      〒572−0850 大阪府寝屋川市打上高塚町1−2−1526

12 宿泊その他   宿泊は、各自直接お申し込み下さい。名古屋駅周辺には、たくさんホテルがあります。早めに宿泊の予約をされることをおすすめします。
講習会中の食事は、近くのコンビニやスーパー、レストランをご利用ください。研修会場内での飲食が可能です。

13 講師紹介
【特別講師】
◇松嶋 秀明(まつしま ひであき) 滋賀県立大学人間文化学部人間関係学科教授
 専門は「臨床心理学」。「臨床心理士」として学生相談や小中学校のスクールカウンセラーといった実践活動にたずさわる一方、そこで起こる様々な問題、非行少年の更生プロセスや、学校臨床領域における支援のあり方を研究。
 著書として、『リジリアンスを育てよう―危機にある若者たちとの対話を進める6つの戦略』松嶋秀明 奥野光 小森康永/金剛出版、『ナラティヴ・プラクティスとエキゾチックな人生』小森康永監訳 他5名と共訳/金剛出版、『「非行少年」の質的研究?なぜ彼(女)らが「問題」なのかと問うてみる』能智正博 川野健治/東京図書、『ナラティブセラピーの冒険』小森康永監訳、他7名と共訳/創元社 など。

【講師】
◇牧野 泰美 国立特別支援教育総合研究所総括研究員
 専門は言語障害教育、言語獲得、コミュニケーション障害とその支援など。「全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会(全難言協)」をはじめ、各地の「きこえとことばの教室」の担当者や、親の会等と連携しながら、子どものことばやコミュニケーションへの支援の在り方、きこえとことばの教室の役割などについて研究活動を進める。
著書に、『言語障害のおともだち』(ミネルヴァ書房)など。

 ◇伊藤 伸二 日本吃音臨床研究会会長・国際吃音連盟顧問理事
 21歳の時、セルフヘルプグループ言友会を創立。大阪教育大学専任講師(言語障害児教育)などを経て、現在伊藤伸二ことばの相談室主宰。第1回吃音問題研究国際大会を大会会長として開催し、国際吃音連盟の礎を作る。論理療法、アサーティブ・トレーニング、竹内敏晴レッスン、認知行動療法などを活用し、吃音と上手につきあうことを探る。著書に、『両親指導の手引き書41 吃音とともに豊かに生きる』(NPO・法人全国ことばを育む会)、『吃音の当事者研究−どもる人がべてるの家と出会った』(金子書房)など。


   『リジリアンスを育てよう―危機にある若者たちとの対話を進める6つの戦略』訳者あとがき
      岐阜県立大学人間文化学部教授 松嶋秀明[第5回吃音講習会特別講師]
 
 本書の主題となる「リジリアンス」とは、ウンガーによれば「重大な逆境の下、自らの幸福を維持するための心理的、社会的、文化的、そして身体的資源に自らを導く個人的能力、およびそれらの資源が文化的に意味のある仕方で提供されるよう個人的にも、集団的にも意味の交渉を実現する能力」です。
 本書の原題「ストレングス」と類似していますが、逆境におかれた際に発揮されるのがリジリアンス、平時から存在するのがストレングスと使い分けられます。当初は、個人の特質として議論されたリジリアンスですが、近年では、環境との相互作用に注目したエコロジカルなモデルが注目されています。
 第1章はウンガー自身の少年時代のいじめられ体験が開示され、いじめっ子であったジェフリーと自分との境遇が実は似たものであったのにもかかわらず、どうして行動には違いがでたのかを考えるところからはじまっています。本書で主題となる「危険(dangerous)」「非行(delinquent)」「逸脱(deviant)」「障害(disorder)」の4D行動をとる若者たちは、私たちからみれば「問題」ですが、他方では、リスクを抱えた若者のサバイバル戦略とも考えられます。
 第2章では、こうしたサバイバル戦略を、どこにいても誰といようと自分のアイデンティティにしがみつく「パンダ」、日和見でどこにでも融け込もうとする「カメレオン」、そして自分が相手をコントロールできるように自分に注目させる「ヒョウ」の3つに分類しています。
 第3〜5章はリジリアンスを育てるための戦略の紹介です。若者たちの4D行動に対してウンガーが提案する戦略は「やめさせるのではなく代わりを探す」です。戦略1の「若者の真実を聞く」をはじめ、「若者が自らの行動を批判的に見るよう援助する」「若者が必要だというものにフィットする機会を創造する」「若者が耳を貸し、敬意を払うような仕方で話す」「最も大切な差異を見つける」という5つの戦略です。
 第6章は、いじめの臨床実践。パンダ、カメレオン、ヒョウのアイデンティティがそれぞれどのようなイジメっ子の姿となってあらわれるのかが示されます。近年、わが国においても知られるようになったイジメ予防をうたう心理教育プログラムについても若干批判的なスタンスを披露しながら、イジメっ子にイジメでない代案を提案するための会話を展開しています。そして最後に第7章と8章では、リジリアントな若者のストレングスを評価するインベントリーを紹介し、その利用法が紹介されています。
 わが国では、本書でとりあげられるような若者に対して、社会は年々寛容さを失っているようです。少年法の厳罰化をはじめ、学校教育をめぐるトピックには「ゼロ・トレランス」「毅然とした対応」といった言葉が踊ります。本書の訳出がはじまった2012年の夏、ある痛ましい事件をきっかけにして沸き起こった「いじめ」撲滅についての言説の多くも、イジメ=犯罪という図式をもちだし、警察官を学校に派遣するといった解決が語られます。こうした方策に共通するのは、当の若者たちが何を考えているのかを聴き、どうすればいいのか私たちが思い悩むかわりに、若者をより大きなパワーで従えようということでしょう。もしかしたら、私たちはウンガーが結論で述べたように「若者についてのある種の考え方にはまって抜け出せないでいる」のかもしれません。彼(女)らに変わることを求める前に、私たちも変わることが必要でしょう。


   ◇◆◇◆  懇親会のお知らせ   ◇◆◇◆
 講習会1日目の終了後に、懇親会を企画しています。これまでの講習会でも、「この時間に本
当にいろいろな話ができた」「日頃どもる子どもたちと関わる中で感じていることが、お互いに
共感できた」「ちょっと悩んでいることへの解決の糸口が見つかった」などの感想が寄せられて
います。とっても貴重で、素敵な出会いの場です。ぜひ、皆様のご参加をお待ちしております。 なお、会費は講習会参加費とは別に、当日、3,500円を集金させていただきます。


 日本吃音臨床研究会  伊藤伸二      2016/05/28