親の話し合い

 親も、グループに分かれて話し合いをします。今年は親の参加が40人だったので、8人ずつの5グループに分かれました。私たちのサマーキャンプは、父親の参加が多いのがひとつの特徴です。今年も14人の父親が参加しました。
 複数回参加している者と初参加者をバランスよく組み合わせて、グループを編成しました。どのグループも、最初は、子どものことを絡めながら、何を求めてこのキャンプに参加したのかをひとりずつ語る自己紹介から始めているようです。
 どもる子どもたちが、周りに同じようにどもる子がいなくて、ひとりで悩んでいるのと同じように、親も、他のことでは話せても、どもりについては誰にも言えず、一人で孤立感を強めています。だから、サマキャンで、親の話し合いを始めると、みんなが本当によくしゃべります。初めて出会ったのに、そんなことを感じさせないくらいすぐに打ち解けてずっと以前からの知り合いだったように、よく聞き、よく話をします。親のセルフヘルプグループができあがっているといえます。

話し合い 親

 話し合いを通して得られるもの

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 親同士の語り合いの中で、親は、どもる子どもを持ち、悩んでいるのは自分ひとりではなかったことを実感します。保健所や児童相談所に相談したら、「そのうち、治ります。様子を見ましょう」と言われてそのままきたという話、子どもの友だちから「なぜ○○君は、そんなしゃべり方をするの?」と聞かれてどう答えていいか分からず困ったという話、毎年クラス替えがあるたびに担任に話をしているが、よく分かってくれる先生もいるけれど理解してもらえない先生もいて困った話、おじいちゃんやおばあちゃんが心配していろいろ声をかけてくれるがそれが逆に負担になっている話、子どものこれからの就職や結婚のことが心配だという話、そのどれもが親たちの共通の話題として上がります。

⊂来への見通し
 先輩の親から、初参加の親へ、実体験に基づく語りがあります。決して押しつけではなく、アドバイスでもなく、親たちは、自分の体験を語ります。それは、年下の子どもを持つ親にとって、今後のことを考えるときの大きな励ましになります。これから起こってくるかもしれないことへの見通しをもつことができ、準備をすることができます。初めて参加したとき、先輩の親たちが本当によく話を聞いてくれてうれしかったから、今度は私がその役割を果たしたいと思ってくれている親がたくさんいます。サマキャンの中で、自分たちの役割を自覚して行動して下さる親がどんどん増えてきました。ありがたいことです。

若いスタッフの体験
 サマキャンに参加すると、自分の子どもより少し年上のスタッフから成人のスタッフまで年代を追って将来を見通せるどもる人の姿を見ることができます。話し合いのグループには、スタッフとして若い成人のどもる人が必ず入っているので、親にしてほしかったことは? 親にしてもらってうれしかったことは? など経験を直接聞くことができます。見本の芝居には、成人のどもる人が、どもりながらせりふを言い、楽しそうに演じています。大人になっても治らないのかと現実を見ることにもなりますが、どもっていても大丈夫という見本を、自分の目で確かめることのできる場です。小学生をもつ親が、こんな中学生や高校生、そして大人になってくれたらと確かな将来像をもつことができるのです。

  日本吃音臨床研究会  伊藤伸二  2015/09/23