話し合い  中学1年生


 スタッフの一人、西田逸夫さんは、この年のキャンプで初めて、子どもたちの話し合いに参加しました。それまでの4回は、親の話し合いに参加していたのです。新鮮な印象から、弟がどもるから参加している兄と、初めて参加した一人の男子について触れているところを一部紹介させていただきます。

 私の参加した中1グループは、3回以上参加している4人、初参加の2人、弟が吃音である兄が1人の7人だった。スタッフはベテランの桑田さんと掛田みちるさん、初参加で沖縄から来られた恩納さん、それに私の4人だった。
 兄は、話し合いの最後の感想で、去年までの2回は弟と同じグループに参加していたが、今年初めて同学年の人と話せて良かった、みんなが学校でどうしているのか分かった、と話していた。部屋の隅に座って口数も少なく、スタッフに促されても発言をパスすることが2度3度とあったが、発言すれば真摯な内容で、聴き手として話し合いにしっかり参加している姿が印象的だった。
 初参加の一人、参加前からサマキャンに期するところがあった様子で、話し合いの冒頭から積極的に発言した。学校生活でそれまでどれだけ困って来たか、どんなふうにからかわれ、どう対応して来たか等など。このとき、複数回参加している3人は並んで窓際に座っていたのだが、1時間半の間に3人が3人とも、壁にもたれた姿勢から徐々に身を乗り出し、終わりごろにはすっかり壁から離れて前のめりになっていた。
 初参加の子が話す内容は、何度も参加している子どもたちが時折、自分以外のどもる仲間のことも含めての考えを披露するのに比べ、自分自身のことだけに終始した。これは吃音のことを初めて話す場に臨んだのだから当然のことであるし、彼の場合はそうした余裕のなさが真剣さにつながっていて、むしろ好もしく感じた。

 子どもたちのどのグループもそうであるが、複数回参加した子と初参加の子の絶妙なバランスがいい味を出している。偶然の産物である。


話し合い中1年

 <自己紹介 自分のどもり方>
 話し合いは、まず、自己紹介から始まりました。子どもたちは、その中に、自分のどもり方について自分なりに分かっていることを盛り込んでいました。
・のどがところがつまって言えなくなる感じ。
・連発といって、頭文字をたくさん発音してしまう。知らない人の前でよくそうなる。
・友だちとしゃべるときは普通に言えるけど、人前だと考えてしまってことばが出なくなる。
・みんなの前で言うときには黙り込んでしまう。
・言いたいことが出てこない。
 スタッフも、「よろしくお願いします」と言いたいときに、「よよよよ…」となってしまうことや、小学校や中学校時代の新学期、またどもるのだろうと思うと、憂鬱だったなどと振り返って話します。そんなふうに、自然とどもりの話が始まり、深まっていきます。

 <中学校進学、部活動>
 中学校に進学し、小学校より友だちとの関係が強くなりました。部活動も始まりました。
・剣道をしているが、号令がうまくかけられなかったとき、友だちに打ち明けたら、代わりにやってくれた。相談してよかった。
・サッカーの県大会で、名前と生年月日を言わないといけないことがあった。僕のどもりを知っている子が一人いて、助けてくれた。
・小学校に比べて中学校は、発表する機会も多くなり、どもることも増えたが、環境が変わって新しい気分になって、がんばっている。
・最初の一文字が言えたら、後は大体言える。友だちがそのとき、一緒に言ってくれる。・小学校低学年のころは、どもると、みんなは笑った。でも、高学年や中学校になると、笑わないけど、「どうしたの?」という感じで、シーンとなる。

 <どもりは障害か、障害じゃないか>
・障害じゃないと思う。友だちには、障害でもないし、病気でもないと伝えている。
・僕は障害ではないと思っていたが、友だちから言われて迷っている。障害だと言われたとき、傷ついた。
・障害じゃない。生活の中で、不便を感じていないから。
・何十年も続くなら障害だと思う。今、治す薬がないのだから、だったら障害になると思う。
・僕は障害だと思う。僕のお母さんのお姉さんの子どもに障害があり、どもりも、知的障害もあるから。
・障害というのは、生まれつきのもの。どもりは物心ついてから始まるから障害ではないと思う。

 <どもりが治る薬があったら飲むか>
・飲む。学校で「早く言え」とか言われるから。
・飲むと思う。普通の人のようにどもりが治ったらどんな感じなのか体感してみたい。
・僕は飲まない。
・一回試しに飲んで、大丈夫そうだったら飲むし、だめだと思ったら飲まない。
・十何年か吃音だったので、これからもそれでいい。飲まないと思います。

 小学校から中学校に進学した子どもたち、環境の変化にとまどいながらも、自分らしく生活している様子が話の中から、分かります。障害かどうか、どもりが治る薬があったら飲むかどうか、そんな話題提供をしながら、子どもたちは、自分と同じようにどもる仲間と普段の生活の中ではなかなかできない吃音を話題にして話しているのでしょう。メンバーの多少の入れ替わりはあるでしょうが、この仲間とは、来年も話し合いの場で出会います。自分の1年間の成長や変化を、仲間に共に話し合う中で、確かめているとも言えるのではないかと思いました。初参加の子が、次回はリピーターとしての発言をしてくれるでしょう。そうしてサマーキャンプの文化は、受け継がれていくのだと確信しました。