大阪吃音教室忘年会

 12月21日、大阪スタタリングプロジェクトの忘年会でした。食べ放題、飲み放題のすてきなカフェでここ数年、忘年会をしています。おいしい料理とワインなのお酒があるのですが、この忘年会のメインはスピーチです。今年は28名の参加でしたが、くじを引いたテープルの一番からスピーチが始まります。みんなは、このスピーチのために、何を話そうかを用意してきます。一年を振り返り、来年の抱負を語る。時間制限がないので、長い人はかなり話します。

 食事とお酒がある程度回ったところでスピーチを始めないと、人数が多いと大変です。今年も、6時にスタートして、終わったのが10時でした。世界のセルフヘルプグループの中で、私たちのミーティングである、大阪吃音教室ほどバラエティーにとんだ内容のものはおそらくないでしょう。今年6月に開かれた第10回世界大会(オランダ)で多くのグループのミイテイング内容を聞いても、話し合いがほとんどで、私たちのように、コミュニケーションについて学んだり、吃音の治療の歴史を学んだり、たくさんの種類の心理療法や精神療法を学んでいるところはありませんでした。

 スピーチもさることながら、私たちは人の話を聞くことをとても大切にし、トレーニングもしています。忘年会という場には似つかわしくないような、まじめな話をし、みんな真剣に聞きます。私もいろんな忘年会に参加したことはありますが、スピーチがごちそうだと、参加者のみんなが考えている忘年会はおそらくないでしょう。

 28人の吃音とともに生きる人生が語られ、時にヤジが飛び、質問をし、コメントわしていきます。本当にまじめな人たちです。真剣に聞いてくれ、関心をもって質問やコメントをしてくれるから、人は語ることができます。語るべき内容があり、それを真剣に聞く仲間がいる。だから、「対話する力」「語る力」が身につくのだと思います。

 いわゆる吃音の症状の軽減のための訓練よりも、この対話の力、自分を語る力を育てることが、吃音とともに生きる人にとって何よりも大切なことなのです。子どもが生まれたばかりの母親に声援が、仕事が決まった人にはお祝いの拍手が。他者の人生に関心をもつ人たちの温かい雰囲気が、私はとても好きです。

 合間には、大阪吃音教室の講座別の参加状況や、出席率が紹介され、表彰したい個人が自分のポケットマネーから賞品を選んで贈ることが定着し、今年は3人の皆出席者がいて、その人に見合ったプレゼントが渡されていました。

 こうして、一年を信頼できる仲間と締めくくれる幸せを、多くの人が語っていました。

 「吃音ともに生きる」と言っても、人によっては、そんなに簡単なことでありません。何度も就職試験に挑戦する人もいます。そのエネルギーが出るのも、自分を語ることばをもち、聞いてくれる仲間がいるからでしょう。
 幸せな気持ちで、みんなは家路につきました。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013/12/24