講習会幕開け

 神奈川大会の会場であった川崎市から、千葉に移動しました。思ったより近く、千葉中央駅直結のホテルミラマーレに到着しました。前泊する大阪の坂本英樹さん、鹿児島の溝上茂樹さん、群馬の佐藤雅次さんとタイ料理を食べました。大阪スタタリングプロジェクトの東野晃之さん、長谷川佳代さんもホテルに着き、いよいよ明日から始まります。

 4日(土)9時、会場に着き、100人収容の部屋に荷物を運び入れました。受付の長机に当日の配布資料や名札を並べました。事前学習のために参加者にお送りした事前資料もすごかったけれど、当日の資料もすごいものができました。この資料だけでも、吃音についての多くのものが凝集されています。
 横断幕を貼り、書籍を並べ、参加者を待ちました。10時、参加者が次々と会場に入ります。前日の神奈川大会に参加していて、引き続き、この講習会に参加する人もいます。来年、全難言大会が鹿児市で開催されるのですが、その大会事務局長である宮内まり子さんも、仲間と共に総勢5人で参加しました。

 講習会実行委員長の堀彰人さんの挨拶に続いて、私の基調提案が始まりました。冒頭、私は、こんなにたくさんの人が参加してくれてびっくりしたということを正直に話しました。吃音を治す、改善する、コントロールする技術を学ぶ講習会ではありません。「吃音否定」から「吃音肯定」という、吃音を認めた上で、親や教師や言語聴覚士が子どもたちに何ができるかの講習会です。

 私はいつも自分のことを少数派だと言っていますが、その少数派の所に100名を超す申し込みがあり、100名近い人が実際に参加されたということは本当に不思議でしたし、驚きでした。
 計画したときは、30人か40人も集まって下されば、じっくりと話ができると、ある意味強がりで言っていました。それが、北は青森、南は沖縄から言語聴覚士が来て下さったことは驚きでした。ことばの教室の先生方も、千葉市が多いものの、全国から来て下さいました。予想外の大人数の参加者とともに、2日間の講習会がスタートしました。私は、モノローグ(独語)からダイアログ(対話)が、人が悩みから解放され、自分らしく生きる道筋だと、吃音についてのナラティヴ・アプローチの提案をしました。2時間、一気に話してしまいました。

 記念講演 
 スタートぎりぎりに、講演の講師、浜田寿美男さんが会場に到着されました。浜田さんが書かれたご著書はたくさん持っていますし、その主張には、ずっと昔から注目していました。いつか直接にお会いし、お話を聞かせていただきたいと思っていた人です。予想どおりでした。

・私も少数派で、相当外れた人だけど、外れて初めて見えることもある。
・岡本夏木さんのことば「迷ったときには、少数派につきまなさい」多数派につくと、考えなくてもすむから。
・多数派は、ドミナントストーリーにはまってしまう恐れがある。正しいとは限らない。どっぷりとはまっていることの危うさをいつも感じていた。
・今日、私たちは、ここの今、手持ちの力で生きている。
・相手が知らないであろうということを話す、自分が知らず相手が知っているだろうと思うから聞く、これがコミュニケーションだ。
・力を伸ばすというが、伸ばした力はたった今使うということが前提だ。力は使って初めて根を下ろすものだ。
・どもっても伝わればいい。どもるかどうかではなく、伝わればいい。
・自尊感情をあげるために、ほめることをするが、これは危うい。そうではなく、子どもが喜ばれる体験、「助かった」と言ってもらえる体験ができるといい。
・学校は、子どもの力を伸ばす場所ではなく、子どもの今の力を使う場所と考えたい。
・人生に準備の時代はない。子どもは、本番の子ども時代を今生きている。
・変えようのないこと、選びようのないことは引き受けよう。変えようのないことは、引き受けざるを得ない。隠すことは、自分のありのままを自分自身が差別して生きることになる。
・できないことはできないとあきらめて、手持ちの力でやりくりして生きるしかない。

 など、メモなので、多少間違いはあるかもしれませんが、共通すること、共感することばかりでした。ご本人がおっしゃっていましたが、何より、よくしゃべること、マイクを持ったら離さないところ、自分のことを少数派だと言っているところ、私とたくさん共通するところがありました。

 続いて、対談です。ここに、司会として加わってくださったのが、国立特別支援教育総合研究所(特総研)の主任研究員、そしてこの講習会の顧問を引き受けて下さった牧野泰美さんでした。
 牧野さんとは、特総研に何度も呼ばれているときからのおつきあいです。実は浜田さんも、特総研の研修の講師として行かれています。司会の牧野さんが「じゃ、少しだけ僕が話して…」と対談が始まりました。少しではなかったのですが、基調講演と特別講演での二人の話から気づいたり思ったりしたことをたくさん話されました。
 浜田さんとの対談は楽しかったです。再確認できたという感じでしょうか。詳しくは、来年3月に刊行予定の講習会報告集を待ちたいと思います。                      (2012年8月4日記)

日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2012/08/22

P1010579
P1010583
P1010588
P1010594
P1010594
P1010595
P1010595
P1010602
P1010611
P1010611
P1010613
P1010616
P1010630
P1010634