吃音氷山説で、自分のどもりを分析する <行動>

行動
 「吃音を否定的に考えていたら、どんな行動をとってしまうか。自分の過去を振り返ってでも、想像ででもいいです。できるだけ出してみましょう」

・どもりたくないので、どもることから逃げる(発表しない)
・どもりそうな時、どもりそうな場では話さない
・できるだけ電話をしない、電話に出ない
・注文は食べたいものより発音しやすいものを選ぶ
・どもることを理由に努力をしない
・どもりのことを考えたくないので、他のことに逃げる
・言いにくい発音を避ける
・電話予約をしなくてもよいネット予約のお店を利用する(レストラン、美容室など)
・人がいないところで電話をかける

 この日はこの程度にしましたが、その人の生活実態の中で、まだまだたくさん出てくるだろうと思います。
 吃音をマイナスのものと考え、劣等感をもった小学校2年生の秋から、僕は話すことから徹底して逃げました。発表はしないし、クラスのいろんな役割からも逃げました。今から考えると自分でもびっくりするくらいです。一番悔しい思い出は、高校で卓球部を辞めたことです。中学校の3年間続けていた「卓球」を高校生になっても続けたいと思い、卓球部に入りました。入学式の時に見初めた女子生徒も卓球部に入っており、最初はとても喜んだのですが、5月に男女合同合宿の計画が話されてびびりました。すぐに浮かんだのは自己紹介です。片思いにせよ好きになった女の子の前でどもりたくない。悩んだあげく、合宿の前日に、「自己紹介が嫌だ、怖い、どもりたくない」ただそれだけの理由で、あれだけ好きだった卓球部を辞めました。「僕の逃げの人生」の本格的な始まりです。吃音を否定的にとらえていると吃音を隠し、話すことから逃げ、人間関係からも逃げ、吃音と本来関係のない勉強もしなくなりました。
 吃音がマイナスに影響した行動を、僕は、小学2年生から21歳までずっととり続けたのです。
 吃音への対処は、言語訓練で話せるようになることではなく、どもりながらでも行動を起こせるようになることだと思います。大阪吃音教室ではその取り組みを続けています。

吃音から受けるマイナスの影響のうち、次回は、感情です。  
    
 日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二        2019/05/21