動画配信中 

 最近、吃音がメディアで取り上げられることが増えました。それはありがたいことですが、取り上げられ方には、違和感を覚えます。その端的な表現が、「どもる人100万人がみんな悩んでいる」です。
 100万人という数字は、おそらく吃音の発生率が1%から来ているのでしょう。その数字も確かなものとは思えないのですが、ずっと昔から言われているので、それはそれとして受け止めますが、その全てが悩んでいるとなると、それは違うだろうと思います。
 確かに僕自身が21歳まで深刻に悩んでいたので、吃音の悩みは人一倍分かります。しかし、悩んでいたのは「吃音は必ず治る」の情報しかなく、吃音について知らなかったからです。100年以上も吃音の研究・臨床がなされ、原因も解明されず、「ゆっくり話す」以外吃音治療法がないことが分かった現在、吃音を認めて、吃音と共に生きる生き方が当然出てきます。吃音のつらかったことも、しんどかったことも、悩んだこともあったけれど、今は、どもりと自分は切り離せない、どもりがあったから今の自分があると、心底思っているどもる人は、僕自身も含めて、僕の周りには大勢います。「吃音と共に豊かに生きている」人が少なくないにもかかわらず、「100万人が悩んでいる」と表現されると、確かに存在する、僕たちのようなどもる人がいないことになってしまいます。
 違和感を覚える僕たちに何ができるか、どもりながら豊かに生きている僕たちの存在を書籍やホームページを通して発信していくしかないのではないかと思います。
吃音の動画 今、日本吃音臨床研究会のホームページを、大阪吃音教室の仲間と一緒に、リニューアルしつつあります。日本吃音臨床研究会のホームページは、幼児の吃音、学童期・思春期の吃音、成人の吃音を網羅した情報を掲載しています。最近は動画に力を入れています。
 動画をぜひ、ご覧下さい。
 まず、今年4月に行われた講座「吃音Q&A」の動画を紹介します。次の8個の質問が出され、僕がそれに答えていきました。 

日本吃音臨床研究会のホームページ(www.kituonkenkyu.org)

 今回配信した最新の動画
録画風景 新 2
1.人前で話す前の心構え
 どもる私たちが、発表やプレゼンテーションなど、人前で話す前にすべきことは何かありますか?
2.どもりは面接に不利? 
 どもる人は受験や就職の面接に不利でしょうか。
3.100万人が悩んでいる? 
 最近メディアで吃音が取り上げられることが増えてどもる人は人口の1パーセント、日本にも100万人のどもる人がいて、100万人のどもる人が悩んでいるという報道がされていますが、本当に100万人が悩んでいるのかな、と疑問に思います。
4.どもる人の甘えとは 
 吃音者宣言文の中に「甘え」という表現が出てきますが、どういうことですか?
5.子どもがどもっている時
 どもる子どものお母さんから吃音ホットラインによく寄せられる相談として、「子どもがどもっている時に助けてあげていいのでしょうか?」というのがあると聞きますが、どうなんでしょう。
6.どもる自分を好きになる
どもる自分が好きではありません、どうすれば好きになれますか?
7.どもれる体になるとは?
 伊藤さんの著書、『どもる子どもとの対話〜ナラティヴ・アプローチがひきだす物語る力』に、「僕はどもれない体からどもれる体になった」という表現がありました。どういうことですか。
8.どもりのアイデンティティ
 「他人がどもりに気づかなければ、私はどもりではない」という人がいるようですが、他人がどもりに気づかなければ、私はどもりではないのでしょうか?

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/5/24